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現代アートをわかりやすく紹介(1) Erwin Wurm (エルヴィン=ヴルム)

こんにちは!トキトマデザインです。

私は現代アートが大好きなのですが、
「現代アートってなんだか難解。」「絵画でさえない作品の何を見たらいいのだろう。」
初めて現代アートを見た多くの人が感じることかもしれません。

そこで私が気になるアーティストをピックアップして、作品の面白さを解説するシリーズを書くことにしました。
まずそもそもの話なんですが、この作品はこういう風に解釈すべきということは何一つありませんので、一人の個人的な意見として聞いていただけたらな、と思います。できるだけ簡単な言葉でわかりやすくお話しますので、ああ、そんなに難しいことではないのか、こういう楽しみ方があるのか、と少しでも思ってもらえたら幸いです。

第一回は、 Erwin Wurm (エルヴィン=ヴルム)です。オーストリアの現代美術家で、日本でも作品を見ることが出来ます。
まずはこちらの写真をご覧ください。(インスタグラムのアーティストのオフィシャルアカウントの写真です。)

 

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これが作品です。

え?って思いませんか。ちなみに人は、人形でも彫刻でもなくて、本物の人間です。

この作品は、「1分間の彫刻( One minute sculptures )」と言って、「1分の間、鑑賞者が白い台座に描かれたイラストの指示に従って、自ら不思議な格好をして作品そのものになる」という作品です。この写真以外にも色々な指示があり、オレンジの上に寝転がったり、バケツを頭と足にかぶせてみたり、たくさんのバリエーションがあります。

 

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※違う作品の写真です。このように白い台座にはイラストで、「不思議な恰好」をすることが指示されています。この場合は2つの椅子にまたがって立ち、変な恰好をすることが指示されています。

別にすごくないのにアートである理由

いくつかの疑問があると思います。

  1. 特にすごいことをしている訳ではなく、やろうと思えば誰でもできることをしている点
  2. 絵画や彫刻など、アーティストが制作した「モノ」がほとんどないという点(台座と小道具はあります。ちなみに小道具は買おうと思えば買える「一般的な商品」だと思います。)

この作品を考えるのに、もし先入観があるとしたら取り除かなければならないことが一つあります。

それは、

「美術作品は人間離れした高度な技術によって制作しなければならないということは全くない」

ということです。つまりアートは、「技術の高さに感心する」という要素は必要ないのです。(高い技術を使ってはいけないということではなく、技術を使うかどうかはどちらでも良い、ということです。)

では、高い技術が必要ないとして、制作したモノがほとんど何もない、というのはどういうことか、なのですが、簡潔に言いますと、アートとは

「ビジュアル(見た目)を作ることができればなんだっていい」

ということなのです。

例えば日本伝統の建築には「借景」という方法があります。部屋の中に窓を作り、風景を部屋の一部として取り入れるという手法です。これは別に例えば山や空といった風景そのものは人間が制作していません。ですが、それを窓で切り取り、部屋の空間を彩ること自体に価値があることなのです。

これは現代美術も同じで、必ずしもモノとして制作する必要はない、ということなのです。

ではなぜこの作品が面白いのか

長い前置きはこれくらいにしておきまして、ではそもそもなぜこの作品が面白いのか、という話です。

この作品のような格好は、指示がなければすることは永久にありません。

「日常のよくある道具の組み合わせで、ほんの少しの変化を加えることで全く新しい形、緊張感が生まれている」

ことが面白い作品です。ソファを立て、ソファにチリトリを自分のお腹で固定するというのは、ありえないことです。この「ありえない事」を見えるかたちにしたことに面白さがあります。

普通の人、普通の道具が、その組み合わせと格好で一瞬にして現代アートになる。(それも1分間だけ)

美術館にあるような素晴らしい彫刻にも負けない美しさ、緊張感が、日常から一瞬にして生まれる。この発想が新しいのです。

というわけで次の作品に行ってみましょう。

 

 

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これは「太った車(Fat Car)」という作品です。

先ほどの作品とは一転して、モノとして存在する作品です。

この作品の面白いところは本来、自動車とは流れるようなスマートな形がカッコいいとされているはずですがこの車は「太っている」ところです。贅肉によってブヨブヨです。余計なもの、必要ないもので形が覆われてしまっています。自動車に限らず、デザインにしても美術にしても、そして人間のスタイルにしても、この「余計な贅肉、いらないもの」が忌み嫌われている側面があります。美しい肉体美、美しい車、そう言われた時に思い浮かべるのはすらっとした無駄のないスマートな形でしょう。ですがブヨブヨの形にも美しさがあり、あえてこのブヨブヨの贅肉を形にすることで、スマートな美しさとは違った「余分なもの、効率的でないもの」に美しさ(形の面白さ、新鮮さとも言えます。)を見出していることにこの作品の面白さがあります。

美術は自由です。この「余計な贅肉」さえ美しさを見出すことができるとこの作品が証明しているのです。

日本で作品鑑賞ができるところ

Erwin Wurm (エルヴィン=ヴルム)の作品は、日本では十和田市現代美術館で鑑賞することができます。(十和田市現代美術館アート広場に常設)

もし機会があればぜひご覧になってください。

現代美術の面白さ

現代美術を紹介するシリーズで、最初にErwin Wurm (エルヴィン=ヴルム)をご紹介したのは、形にとらわれない自由な発想こそが現代美術の面白さを象徴していると思ったからです。他にもまだまだ面白いアーティストはたくさんいますので、少しずつ紹介していけたらと思います。それではまた次回!

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トキトマデザインの代表です。デザイナー兼 WEBサイト運営 兼 バイヤー。現代美術とデザインと釜玉うどんが好き
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