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生命の彫刻家 Wolfgang Laib (ヴォルフガング・ライプ)

一面に広がる黄色い粉。これが作品だというのですから、現代美術は不思議です。
今回ご紹介するのはドイツの現代美術家 ヴォルフガング・ライプです。

実はこれすべて植物の花粉だそうです。(「ハシバミ」や「タンポポ」の花粉を使っています。)
大量に花粉を集めて、床に敷き詰めるインスタレーション(空間芸術)の作品を制作しました。

とりわけ彼の作品は、使用される素材が少し変わっていて、ミルクや蜜蝋でオブジェを作ったり、米粒を集めたり、そして花粉を敷き詰めたりするのです。

どの作品にも共通しているのは、生命を感じさせる素材で作られているという点です。平たい板状の白い大理石の表面に、均一に広がるようにミルクを薄く注ぐ「ミルクストーン」は有名です。

 

Emily Chow Bluckさん(@bitter.perimeter)がシェアした投稿


四角いです。

上のインスタグラムのコメント欄にも、現代アートわからん!というコメントが寄せられています。

単に四角いですし。複雑な人体や、美しい風景画ではありませんし。

しかしこれは生魚を切っただけの刺身は美味くないということがないように、単純な形だからと言って美しくないわけではありません。

一体何が魅力なのか

ヴォルフガング・ライプの作品は「非常にシンプルにそして強烈に、生命のシンボル(花粉やミルク)を視覚でわかるように表現した」ところが魅力的です。

花粉の作品の場合、大量の花粉を集めて敷き詰めることで、通常ではありえない「生命の密度」が目に見える形で表れています。花粉の一粒一粒は非常に小さなものですが、それがこれほどまでに目に見える形で集まるということは、それだけで非日常的ですし、見たことがありませんし、迫力があります。

ああ!この一粒一粒が植物になる根源の物質なのだ!これだけあれば一つの広大な森になる!森が!まさにここに凝縮されているのだ!!という迫力です。

さらにそれをただ四角く敷き詰めるわけですが、ただ四角くしているのも非常に良いのです。
ただ無機質で人工的な形であるというのが、素材が生命の源であるということと対比されて良いのです。

ミルクストーンの場合、液体のミルクは本来、形を持っていませんが、それが大理石の板と一体になることによって非常に強烈でシンプルな立体物として形を維持していることに魅力があります。ミルクのもつ柔らかく甘いイメージと、大理石によって維持される四角い立体物としての固いイメージが、対比され見事に調和し、それが心地よいのです。

甘いケーキと苦いコーヒー、つまりお互いが引き立ちあう。そういうことなのです。

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トキトマデザイン

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トキトマデザインの代表です。デザイナー兼 WEBサイト運営 兼 バイヤー。現代美術とデザインと釜玉うどんが好き
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