和テイストなスマホケースが救ったゲイパレードの落とし物

フランスのパリで毎年6月に開催されるゲイパレードに、毎年見物客として参加していますが、昨年のパレードで、ちょっとしたハプニングと偶然の感動物語がありましたのでご紹介したいと思います。パリのゲイパレードは、フランス国内外から集まったゲイ&レズビアンたちが繰り広げる、自由と平和と愛を謳う華やかなお祭りで、各テーマ毎に豪華に彩られた台車に、個性的な装いのゲイパフォーマー達が乗り込み、音楽にのって華麗にダンスしながら人混みの中をゆっくり進んで行きます。

私とフランス人の夫は、知人の若いゲイの日本人男子Aと彼の友人でベルリンから観光に来た日本人女子Bと一緒にパレードを見学していました。そのうちAとBがパレードの中に入って踊り出し、カーニバル風に飛んだり跳ねたり激しく踊りながら進んで行きました。その内、AとBが真っ青な顔をして私達の前に現れ、「ダンスしてるうちにBがスマホをどこかで落としたらしい」との報告。歩いた場所を探してみたけれど見つからないらしく、例え見つかったとしても、大勢がダンスしている進路の中で踏み潰されて使い物になるかどうかもわからない、、、、と、ほぼ諦めかけていました。ただ、私と夫は「ゲイの人達は絶対にスマホを盗んだりはしない!きっと誰かが拾ってくれてるはず」と断言し励ましました。

するとその予言通り、男の子Aの携帯に電話が入り、フランス語で「あなたの電話を拾いました」と嬉しい一報が飛び込んできました。落としたスマホには、Aのフランス国内用の電話番号が登録されており、それに電話をかけてくれたのです。

パレード進行方向のかなり先にあるレ・アールのカフェで待ち合わせをすると、感じのいい若い男女のフランス人カップルが待っていました。彼らもゲイではないけれどパレードに参加した人達でした。失くしたスマホは和テイストのケース入りだったのですが、フランス人女性から「変わったデザインの素敵なケースね」と言われ、Bも「日本のデザインなの」と答えると、「日本のデザインはセンスいいわ」と褒めてくれ、彼らは日本文化が好きらしく、その後も日本の話で盛り上がりました。この時のカフェは、AとBが感謝を込めて招待しました。

ゲイパレードの参加者に盗みをする悪人はいないのは常識としても、偶然拾ったスマホケースのデザインに関心を持ち、電話をかけてくれて持ち主の元に無事戻ることができた、こんな偶然は滅多に起こるものではありません。私の推測ですが、珍しいセンスのいい和テイストのスマホケースが、拾い主の関心を引き、「こんな素敵なケースを使う人なら素敵な持ち主に違いない」「個性的なケースだからきっとお気に入りだろうし、失くして悲しんでいるに違いない」と、繊細な気遣いをしてくれたのではないかと思うのです。だからこそ、なんとか持ち主を探し出そうとスマホを操作してくれたのではないかと想像が膨らむのです。

持ち物一つでも、そこにその人のセンスや人柄が偲ばれるヒントがあれば、それが手掛かりや持ち主を探す動機となり、例え紛失してもいつか持ち主に自然と戻ってくる、そんな迷信が生まれても不思議ではないと感じた出来事でした。

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エリカ・ド・ラ・シャルモント

エリカ・ド・ラ・シャルモント

英国在住後、フランスのパリに在住。 公職以外に、翻訳・通訳・コーディネーター・ライターの他、 不動産業も手掛け、フランスの雑誌編集にも携わっています。 クラシックカーとアンティークは蒐集家でインテリアは専門分野、 旅行、ドライブは趣味で世界中を駆け回っています。
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