あなたはどっち?「有名になりたい」 or 「無名でもいい」

「あ!もしかして〇〇さんですよね!?」街で声をかけられて、サインを求められる。そんな有名人になりたいと思ったことが一度はあるかもしれません。あなたは有名人になりたいでしょうか。それとも無名でも自分のこだわりをもって生きる方が良いでしょうか。そんな疑問を美術作品やアーティストを例にとって考えてみたいと思います。

作者不明の傑作「サモトラケのニケ」

無名の作者による有名な作品といえば、パリのルーヴル美術館のサモトラケのニケが挙げられるでしょう。サモトラケのニケはNIKEのロゴマークのモチーフともなった有名な彫刻です。詳細は下記引用を御覧ください。

現存するギリシア文明の彫像の中で、女神ニケを題材にしたものとして貴重な彫像でもある。その題材のみならず、優美でダイナミックな姿や翼を広げた女性という特徴的なモチーフなどが印象的で、各地にレプリカが作られ親しまれている。

大理石製で高さは328cm。最初の発見は1863年で、フランス領事シャルル・シャンポワゾによって胴体部分が見つけられた。

引用元:「サモトラケのニケ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2018年12月12日 (水) 03:37 UTC 、URL: http://ja.wikipedia.org/

そもそも、サモトラケのニケは完全な状態ではなく、一部が破損した状態で発見されているため、すべてが作者の意図を反映した造形とは言えないわけですが、それはそれで破損した部分に思いを巡らすような未完の作品としての魅力があります。そういった意味でも作者の名前を消し去った作品と言えるわけです。名声とは無縁の歴史的な傑作、それがサモトラケのニケです。2000年以上も昔の作者は今の状況をどう思うでしょうか。想像でしかありませんが、名前を知ってもらえているかどうかというのは、あまり関係ないような気もします。

名が売れることを拒んだ葛飾北斎

葛飾北斎と言えば、近代絵画に影響力を与えた芸術家の一人として最も有名な日本人と言えるのではないでしょうか。そんな有名な葛飾北斎ですが、実は本人はそれを望んではいなかったのではないかと思ってしまうような出来事があります。というのも、葛飾北斎という名前自体、そもそも一時期の名前で、実際は生涯に30回も改名を繰り返していたのでした。

名前をコロコロ変えた葛飾北斎ですが、良い作品を生み出していきたいと願う北斎は、名が売れることで作品の良さを感じることの邪魔になると考えたのではないでしょうか。

「この絵をみてください。いい絵でしょう。」

「一体誰が描いた絵なのですか。」

「実はこれは葛飾北斎の作品でして…」

「ほほう!それはそれは!さぞ価値があるのでしょう!なるほどよく見たら素晴らしい絵ですね!」

葛飾北斎が嫌ったのはこんな会話だと思うのです。作者の名前を聞いた途端にその絵を見るのをやめて、名前に思いを巡らせてしまう。それなら私が描く必要はない、と思ったのでしょう。改名の理由は諸説ありますが、私はこの理由が有力だと思ってます。

葛飾北斎 / 神奈川沖浪裏

 

絵を描いたふりをして名声を得たウォルター・キーン

妻マーガレットの作品を夫である自分の作品のように売り出し、名声を得たウォルター・キーン。こちらは葛飾北斎とは対称的に、名声を得るためには自身の作品であろうとなかろうとどうだってよかったわけです。良い作品を世にだすことよりも、名声を世に知らしめることが大事なのです。(そもそもウォルター・キーンは、商才はあったのですが画家としては大したことはありませんでした。)裁判沙汰にもなり、ティム・バートン監督のもとに「ビッグ・アイズ」という題名で映画化されて全世界に名前が知れ渡ったわけですから、これはさすがに本人も想像がつかなかったことでしょう。今、Netflixでもみれますのでオススメです。

名声を得たいか、作品を作りたいか

名声を得る事自体それは人々が考える自然な欲求であって、それを否定することはできません。ブランドの価値というのはいわば名声のようなもので、今までの信用や歴史がブランドになるのです。ですので、私達の生活や経済活動にとって切っても切り離せないものでもあります。アーティストは良い作品を望むのか、名声を望むのかといえばそれはその人による、としか言えないのですが、

ここで私自身がデザイナーの立場として考えてみます。現実問題として、デザイナーの名声は収入に影響します。お金の問題でもあるのです。ところがどっこい、幸か不幸か、私自身、望む望まざるに関わらず無名のデザイナーなわけです。ですので、少しでも良い作品が世に出せればいいな、とは思います。もちろんそれが認められれば嬉しいので、「名前を知ってもらいたい」「作品を知ってもらいたい」というのも正直な気持ちです。それが叶えられなくても「それはそれで楽しもう!」というのもまた正直な気持ちなのです。

名声か作品かと問われれば、どちらも!と言えるくらいには素直になりたいですが、名声は私が決めるものではありませんから、当面は良い作品を作っていくしかなさそうですね。自分に何もなければ何も生まれないので、そんな中で名声を求めてもあまり意味がないような気がしています。

そんなわけでトキトマデザインを今後ともよろしくお願いします。

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トキトマデザインの代表です。デザイナー兼 WEBサイト運営 兼 バイヤー。現代美術とデザインと釜玉うどんが好き
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