自宅で簡単にできる、オススメの人物の絵の上達法とコツ

今回は自宅で簡単にできる人物画の練習法をご紹介したいと思います。絵を上達させたいと考える人のなかには、プロになりたいと思う人、趣味で描いている人、ある程度描けたらいい人などそれぞれかと思います。

町の絵画教室などで、特定の日にヌードデッサンを開いているようなところがあるのでそこに行って描くのが一番勉強になるとは思うのですが、美大受験生ならともかく、忙しい社会人がそうそう何度も通えないですよね。そこで、自宅でできる簡単な人物画の練習方法をご紹介したいと思います。

方法1、鏡で自分の体をみて描く自画像で練習する

鏡で自分の体を観察して描くことができれば、それは良い練習になるでしょう。ところが一つ難点がありまして、全裸で描かないと、ヌードデッサンにならないということなんですね。

なぜヌードデッサンがいいかと言いますと、服を着てしまうと形が曖昧になってしまうからなのです。服を着ていると、膨れてても不自然ではないですし、形がすこし崩れていても不自然ではないからなのです。服のシワとか素材感を描く練習にはなるのですが、「人物」を描くという意味ではヌードの方がわかりやすいのです。

それとなぜ「女性ヌード」が多く、「男性ヌード」が少ないのかということですが、女性の方が全体の凹凸が大きくはっきりしているから練習になりやすいというのが理由かと思われます。男性の場合、筋肉があれば凹凸ができるのですが、女性の体と比べて平坦になりがちで、筋肉の細かな凸凹がいろいろな場所にできるので、難易度が高いのです。男性ヌードのモデルさん自体が少ないというのもあるかもしれません。筋肉隆々の人ってなかなかいませんし。(ちなみに美しいかどうか、というのはまた別の話で、平坦なら平坦な美しさがあります。わかりやすい練習になるかどうかという話ですね。)

鏡をみて描くのがベストかもしれないのですが、けっこうハードルが高くなってしまいます。構造を把握するために確認で見るのはいいかもしれませんね。ただ、男性なら鏡にうつった男性を描けますが女性は描けません。そういうときにも困ります。

方法2、そういうアプリがある。

世の中便利になりましたね、人物を描く時に便利なアプリがあるんです。オススメのアプリはこちら。

ArtPose Female Edition

(女性バージョンのデッサン人形です。男性バージョンもあります。)

ヒューマン・アナトミー

(解剖学のように筋肉や骨格の仕組みがわかります。)

上記のアプリは、身体のつくりが忠実に再現されていますので、絵を描く時に参考になると思います。

逆に漫画っぽいデフォルメしたもの(頭や目が誇張されて大きいもの)は、あんまりオススメできません。練習という観点では意味がないのです。
たとえ漫画っぽいものが描きたいのだとしても、きちんと人物を描けてからもできますし、その方が後々楽です。

デメリットとして、現状ではやはりCGなので、だいたいの構造としては正しいのですが、重力に対してきちんと立っているかとか、体つきの不自然さはどうしてもあります。自然かどうかというのはかなり重要なポイントですので、写真や実際の人物も参考にしながらアプリも活用していくのが良いかと思います。

CGの技術も近年急速に高まっているので、近い将来、自然な人物のCGのアプリが実在の人物モデル並みに参考になる日がくると思います。実際、もう映画や大きなプロジェクトの単位では実在の人物と見分けがつかない域に達しています。VR(バーチャルリアリティ)のゴーグルをつければ、現実そのままに立体感をもってそこに人間が立っている、なんてことも実現するかもしれません。

安価に普及されるアプリでも、そのような自然さが実現できる日も近いでしょう。

方法3、ヌードポーズ写真集を参考にする。

これが一番気軽に挑戦しやすいので、オススメです。
特にコスミック出版の「スーパー・ポーズブック」シリーズはわかりやすいです。

iPadのお絵かきアプリで、写真をトレースして線で表現するのもいい練習になります。アイキャッチの絵(記事上の絵)も写真集を参考に私が描いてみました。(iPadで アプリProcreateを使って描いてます。)

写真集のデメリットとしては、平面でしか確認できないので、立体的にはどういう形になっているか把握するのが難しいという点です。他に紹介した方法と合わせることで、構造の理解を補完しながら描いていくといいです。

描く時のポイント

人物に限った話ではないのですが、形を表現するには「形が大きく変わるポイント」を抑えることがコツになります。ですので、肘とか膝の関節、骨盤などの部分、そういった可動部分は形も複雑になりますので、そこを重点的に観察するといい感じになります。あとは筋肉の流れです。骨があり、筋肉があり、表面の皮がある、といった感じです。輪郭を追うことも重要なのですが、構造がわかることで理解しやすくなります。(最初はなんとなく、くらいでいいと思うのですが。あんまり難しく考えると挫折しがちなので)

ひとつテーマを決めるといいかと思います。「ボリューム」でもいいですし、「雰囲気」でもいいですし。私の場合はいつも「光」をテーマにしています。

光の描き込みでわりと取捨選択し要約しましたので、明暗も機械的な意味では実際とは違いますし、コピー機のように描いたわけではないのです。限られた時間で何を表現するか、なので、何を捨てて何を表現するかが重要になってきます。

人物画に限らず、この「要約」がけっこう肝なのですが、一番言葉では説明しにくく、かつ重要なことなのですが….

ウソであるとも言えるし、ウソであってはいけないという大変ややこしいことなのです。まあ、絵を描くこと自体、現実がそこにあるかのようなウソの始まりなわけですけどもその辻褄をあわせるのに、単純にうつしとるだけではダメなのです。かといって想像で好きなように描くのとは違って、「実際の色調や明暗にとらわれずに対象から得られる情報を整理して表現する」というのが一番近い表現かなと思います。ただデタラメではいけないのです。デタラメではダメだけど、とらわれてもいけない、ということなのです!!

例えば、今回の絵は、線で輪郭などが描かれていますけど、現実は線なんてないのですね。はい、これウソですねってなります。そして色も違うわけです。はいこれもウソですねってなります。そうなるとそれ以外はどうなるの?ってことに絵の中でなるわけです。絵の中で不自然に見えないようにするためには、機械的に正しい値(カメラで測定したような値)ではなく、心理的に自然に見えるような色や形に変換してあげないといけないこともあるわけです。

最終的には本物に近いに越したことはないのです。なのでこねくり回してウソをつく、のではなくて、「手を抜けるところは現実と乖離していても気にならない」とも言えます。

そしてその変換が人それぞれに違うので、絵の個性にもなります。

誇張と省略

今回輪郭についてはウソをそんなについてないわけですが、それついてもウソをついていいわけです。ぐにゃっと曲げてもいいわけなんです。つまり「誇張」することも可能です。

だから漫画やアニメの目や顔はあんなに大きくなってもいいわけです。あんなに現実と違うのに、女の子や男の子が可愛いなとか思ったりできるのですから、まったくのデタラメというわけではないのですね。

他人の絵を模写したり、アニメのような頭が大きくて目が大きいデッサン人形のアプリはあまり練習にならない、というのはこの工程を理解しにくくするからなのです。最終的にはそういう絵を描くにしても、どうしてそういう風に描くかということを理解するためにも、現実をうつしとることがいい練習になります。

参考になる画家

アンドリュー・ワイエスという有名な画家がいるのですが、その画家の絵は非常に「取捨選択」が上手いのです。ものすごくリアルに描いているのですが、何から何までうつしとるのではなく、うまく要素を現実から抽出しているのですね。

小磯良平の絵も非常に勉強になります。本物を間近でみてみると、ほとんど描いてないんですね。それで表現できてるのですからすごいのです。

「描く」と「描かない」のせめぎあいで絵が完成していくのです。

その域まで達するには並大抵のことではないのですが。

iPadで絵を描くのは効率がいい

アナログで描くのも大事なのですが、iPadにも良さがあります。「やり直し」が簡単なんですね。アナログなら最初からやり直さないといけない失敗も、iPadなら無駄にならずに済むので練習するのにはけっこういいと思いました。今回のも絵も途中でわりと失敗しても元に戻せたので、助かりました。

しかし、アナログな画材で描いておかないと、なぜこの画材の再現がこうなるのかが理解できないので、そういう意味でもアナログな画材でも慣れないといけないとは思います。私の個人的な意見としては、「iPadで数多く描いて、たまにアナログでも描く」というのが効率いいのかなーって思いました。同じ時間でアナログの何倍もの量をiPadで描けるのでその分、トライ&エラーが繰り返しやすく改善しやすいんですね。さらに、アナログの画材は準備するのも片付けるのも結構たいへんなので、描くまでのハードルが高くなって、結果描かないという事態に陥りがちなのです。そうであればiPadで気軽にどんどん描いていけた方が上達するというものなのです。

「アナログの方がいいに決まってる」アナログ原理主義者ではいけません。それぞれにいいところはあります。

まとめ

上達してくるにつれて、無駄な線や作業が減っていくのでそこが面白いところなのですが、これを意識しすぎてもかえって描きにくくなってしまうので、のびのび描きましょうと言いたいのです。意識しなくても自然に作業量は減っていきます。え?なんでこれだけで、スッと描けるの?みたいなのは、言われてそうなるものじゃなくて、自然とそうなるものなので…。スターウォーズのジェダイがフォースを習得する時みたいなものです。そんなことより「のびのび描く。」これが大事なんです…。

とまあ、いろいろ書いたのですが、結局描いた量に比例して上達しますので、たくさん描くことが上達の近道かと思われます。

 

The following two tabs change content below.
トキトマデザイン

トキトマデザイン

トキトマデザインの代表です。デザイナー兼 WEBサイト運営 兼 バイヤー。現代美術とデザインと釜玉うどんが好き
トキトマデザイン

最新記事 by トキトマデザイン (全て見る)

\このページをシェアする!/
コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です