現代アート紹介。 Gerhard Richter( ゲルハルト・リヒター )
ゲルハルト・リヒターはドイツの現代美術家です。現在の現代アートの世界で最も有名な一人で、現代を代表するアーティストは誰かと言われたら私はゲルハルト・リヒターを真っ先に思い浮かべます。
現代アート全体としては、空間を使った作品、立体物、映像や最先端のメディアを使った作品と表現方法はたくさんありますが、その中でもゲルハルト・リヒターは平面の絵画作品をとりわけ多く制作し続けています。鏡を使ったり、ガラスを重ねた作品などもありますので絵画だけではないのですが、広い意味で平面にうつる像であったり、写真、絵画などの作品が多いと思います。
ゲルハルトリヒターの作風は多岐にわたり、驚くものばかりですが、とくに「写真」の特性を「絵画」で表現したり、融合させたような作品が有名です。
最初に紹介する作品は、焦点の合っていないピンボケの写真のようにふんわりとした絵です。「輪郭が溶け出したようなぼやっとした絵」というのは、モネなどの印象派もそうなのですが、印象派が描いた絵は、筆あとがはっきりわかるようないかにも「絵の具と筆」が感じられるようなぼやけ方でした。
日傘をさす婦人(モネ)
しかしリヒターは絵画というよりむしろ写真のようにぼやっとした絵なのです。
印象派の時代は、ちょうど写真が普及し始めた時代でもありました。実際、肖像画家が写真家に転向した例もあったくらいです。ですので、写真に対して絵画で勝負を挑んだ、つまり「写真に対抗した絵」とも言えるのですが、リヒターの場合は写真の特性を取り込んだ絵、つまり「写真の見せ方を絵にうまく取り込んだ」という点でまったく考え方が違うとも言えます。
写真と絵画の世界の融合
今度はまた違った雰囲気の作品です。写真の上に豪快に絵の具をのせて絵にしています。
写真と抽象絵画をあわせたような作品です。
「現実の形をはっきりと具体的に再現する」写真に対して、「何が描いてあるのか具体的にわからない」抽象絵画を一つの画面にしています。
まったく異なる世界をひとつにまとめてしまう面白さを感じました。
そんなわけで今回はゲルハルト・リヒターについての紹介でした。リヒターは作風を大きく変え様々なバリエーションがあるのも魅力のひとつです。今回ご紹介したもの以外にもたくさんの面白い作品があるので調べてみるのも良いかもしれません。